麗しの京都(三)


< 部屋からは鴨川の眺めが楽しめました>

夕刻5時、宿に着きました。
チェックインをすませた後、お部屋へ。
宿に関してはちょっと割愛・・・。お部屋から桜咲く鴨川が見えました。

夕食をすませたあと、今回色々とアドバイスしてくれた京都在住の
パノラマカメラマンNさんが京都夜景案内に連れて行ってくれました。
宿まで来てくれたNさんと再会の喜びの挨拶をして、いざ夜の京都へ。
パノラマカメラマンで、ウェブデザイナーであるNさんは
コーディネーター業でも十分やっていけます〜!と言いたくなるほどの
名ガイドぶりなのでした。
ちなみにこちらがNさんのHPとブログページです。素敵なパノラマ
写真がみられます!
http://vr-express.com/
http://pencil-jp.net/weblog/
我々のライトアップした「清水寺も是非観てみたい」との願望をふまえて
Nさんはコースを考えてくれました。
高瀬川沿いを楽しんだ後、まずは八坂神社へ。


< お祭りモードの八坂神社でした>

そこはまるで初詣かお祭りか?くらいの賑わいぶりでした。提灯に明るく
照らされる境内。中程の舞台では音楽会の準備がされていました。
それにしても、京都に来て驚くのは屋台の多さです。
おそらく東京の5倍〜10倍くらい(いやもっとかもしれません)あろうか
という屋台がお花見ムードのお寺や公園のあちこちで見受けられます。
やはりお土地柄というか、東京では観た事のない屋台もあります。
その中の一つ「焼竹の子」をとても美味しいからとNさんにおすすめされて、
いただきました。といっても私は歯列矯正してるので、非常に残念ながら
かぶりつく事ができず。男子二人で味わってました。寂しい。


< 東京にはまずないでしょう焼竹の子屋台>

牛筋を煮込んだものを出してるところとか、東京にはない屋台がいくつも
ありました。中には有名どころもあるようで、行列ができてる店もあります。
屋台文化、定着しています。
東京では屋台はすたれて、排除される傾向にあるのに、京都ではまだまだ
とても元気なようでお寺の境内のこんな所まで入り込んでいいの?
とこちらが心配になるくらいの所まですみずみぎっしりと並んでいた
のでした。

導かれるまま、お祭り気分の道を歩いているうちにいつの間にか円山公園に
到着しておりました。


< 地元の皆さんで賑わう丸山公園>

円山公園のかの有名な枝垂れ桜の下は花見客で大宴会場と化しておりました。
下からライトアップされた老桜は荘厳に枝を広げておりました。その存在感は
やはり圧倒されるものがあります。


< 堂々たる枝垂れ桜>

Nさんによれば、桜の根元はコンクリートで固められ、延命のために数々の
処置が施されているとのこと。それはもはや「サイボーグ桜」のごとく、
なんとか生きながらえているのだそうです。確かに数本の枝先はすでに花を
つけておらず、話を聞いた後では、また違った感慨が胸にわいてくるのでした。
ですが次世代の円山公園の桜は、すでに非常に由緒ある造園業の方によって
育てられているそうです。さすが京都。
それにしてもこういった話を随所でしてくれるので、Nさんとの散策は
美術館の「オーディオガイダンスを聞きながら」さながらの楽しいツアー
なのでした。

その後高台寺方面へ。ここはライトアップの美しさでは有名なお寺です。
昨年の3月、京都に訪れた時はその美しさを堪能しました。今回は時間配分を
考慮して通過です。

ここから清水寺に向かう二年坂へと入りました。さすがに桜満開のライト
アップの時期とあって、夜もかなりの人ででした。それでもNさんが懸念
していたほどの人でではなかったそうです。再び初詣か?のにぎわいを
見せる二年坂からふらっと横道に誘われ、少し歩いた我々の視界にはライト
アップされた八坂の塔が鎮座しておりました。この界隈の道は一本入った
だけなのに、急に嘘みたいに静かです。
堂々たる八坂の塔を独占して眺めました。
これほど間近で観たのは初めてです。カメラマンのNさん、ここですかさず
夜の八坂の塔、カメラベストアングルを伝授してくれました。
< ですが我々の性能低いカメラには思惑とは裏腹に闇夜が・・アップできず>

そして再び賑わう3年坂へと戻り、いよいよライトアップの清水寺に到着
です。まさにここは元旦か?の人出でした。
午前中ここにきたときよりもずっとたくさんの人がいます。


< 清水寺入り口。これも実際は10倍くらい明るいです>

美しくみえるよう計算されたライトを浴びた清水寺は、夜の闇に幻想的に
浮かび上がっておりました。天上には山の方から一筋のレーザーライトが
京都市内に向かって指し込まれ清水の神々しさを演出。広い境内随所が
惜しみなく照らし出され、感動すると同時に、「いったいいくら電気代が
かかるんだろう・・」という現実的な疑問いや心配?が私の脳にも
ライトアップされてしまいましたました。
http://www.monzenkai.com/yakan.htm
(写真が殆ど撮れてなかったのでこんな感じです↑)
Nさん曰く、この照明は東京の照明デザイナーによって配置されたものだ
そうで、閃光きらめくレーザー光線は一晩でそれはもうびっくりなお値段
がかかるとのこと・・・。そんなにお金使って大丈夫なのか清水寺!と
心配になりましたが、目の前に溢れ返る400円(昼は300円でした)
の入場料を払った人々を見ると、「全然大丈夫。」と境内に奉られている
えびす様からお返事がきこえてくるようでした。
舞台の上は人が幾重にもてんこもりで、今にも木造建築が崩れ落ちるのでは
と不安になるのですが、この優秀な古来の木造建築はこの程度のことでは
びくともしないのだそうです。byNさん。すごいぞ昔の日本人。
そういう訳で、ミーハーに舞台の上からもライトアップされた夜桜を満喫し、
ライトのおかげで昼よりも良く見える舞台下の木造柱の美しさにみとれ、
再び三十の塔をうっとりとみあげて満足して清水寺を後にしたのでした。




< 魅力的な看板がいっぱいの夜の京都>

その後は先斗町のバーでNさんを囲み楽しいく熱い語りの「飲み」タイム。
若沖展の時は本当にちょっとだけしかお話ししなかったので、こんなに
じっくり話すのは初めて。でもなんとなく初めてとは思えないそんな
親しみを持たせてくれるNさんなのでした。

麗しの京都(二)


< 哲学の道>

同志社大の学食でリーズナブルなランチを楽しんだ我々は一路バスで
「銀閣寺道」へ。ここが「哲学の道」直近のバス停です。
銀閣寺はただいま修復工事中ということで、今回はスルーする事にしました。


< この時期哲学はちょっと無理・・の哲学の道>

「哲学の道」出発点界隈はお昼時を過ぎ、既にかなりの人人人でした。
とても「哲学」できる状態ではありません。そこはもはやメッカ巡礼
状態でした。人々は行く人来る人数列ずつの行列で歩いています。
観光シーズンにここに来るなら、銀閣寺道から南を目指す歩き方を
お勧めします。逆から来た人たちは、おおむね水路から一本離れた道を
歩かざる終えない状況でした。
ですが、そんな過酷な環境であっても、やっぱり来てよかった!と
思える水辺の桜の風情でした。
途中、GoofyMANIAさんに教えて頂いた版画ギャラリー高野に立ち寄りました。
哲学の道からほんの20メートルくらいはいった所に
ありますが、急激に静かな雰囲気になります。
ここは主に木版画作品を取り扱っているギャラリーです。
http://www.gallery-takano.com/
他にもポストカードやグリーティングカードなど本刷りしたものを
リーズナブルなお値段で購入する事が出来ます。私も数枚のカードを
購入しました。


< 途中美しいしだれ桜もありました>

そしてまた、過酷?な行脚へ・・・。
自分のペースで歩けないからか、皆なだんだんとうつむき加減に・・・
その視界には人々の行進がもたらした白い土煙がたちあがっていました。
道々の途中何組かの外国人パフォーマーが音楽を奏でていました。
中南米のハープ弾くものあり。フレンチテイストのヴァイオリンと
アコーデオン弾くものあり。がしかし、洋物と日本の桜はやはりちょっと
ミスマッチなのでした。なぜかお琴を弾く日本人はいませんでした。
そろそろ、ぎゅうぎゅうの哲学の道はおなかいっぱい・・
というあたりでちょうど道も終わり、そのまま道なりに南禅寺を
目指しました。主題が桜だったので、今回はお気に入りのお寺、永観堂
もスルーです。

南禅寺。ちょうど今年のJR東海、春の京都キャンペーンポスターに選ばれた
お寺です。見事な桜を手前にした三門のポスターは東京のJRの駅あちこちに
これでもかと貼られたものでした。
http://recommend.jr-central.co.jp/others/museum/kyoto/spring_2008_02.html
ここで私は重要なポイントに気がつきました。ポスターの絵は人間の視点
じゃなかった!広い境内に点在する桜、壮大な三門も立派です。でも
脳内にインプットされてるこぼれ落ちんばかりの桜+三門という絵とは
また違った雰囲気でした。そしてさらに三門の上にはあふれんばかりの
人が鈴なりになってました。


< 人で溢れ帰る南禅寺三門界隈>

あぁ・・私のイメージ・・。それにしてもポスター効果かすごい人です。
水路の方まで行きましたが、我々急にここで人の多さに疲れきってしまいました。
人に酔ったというところでしょうか。

その後は、Goofyさんがいなければ知り得なかった、ルート、インクライン
と琵琶湖疎水沿いの桜を楽しむことに。

kykotosakura015.jpg
< インクライン、ここも大人気でした>

インクラインは南禅寺を出た所の旧線路沿いにある桜で、地元では有名
らしいです。ここからさらに琵琶湖疎水の水辺沿いを平安神宮方面
に向かって歩くと、ずっと見事な水辺と桜の景色が楽しめるのでした。
疎水沿いを歩けるなんて知りませんでした。


< 癒しのスポット琵琶湖疎水沿い>

ここは明らかに穴場感ただよっていました。観光客は神社仏閣に集結
するのか、散歩してる方は主に地元の方々のようでした。


< 疎水沿いには動物園や美術館などがあります>

碧い美しい水べに立派な桜が続きます。この散策は、人ごみに萎えていた我々
をゆったりと癒してくれました。


< 大市街地とは思えないきれいな水>

途中平安神宮の大鳥居が現れました。大鳥居から入り口までは更に100メートル
くらい歩かなければならなさそうでした。視界には再び人人人。既に足は棒状態
です。まぁ欲張ってもね・・・と夜桜見物に出かけるつもりの我々は
大人の決断でここは一つ見送る事にしました。
また来るからね。と心の中でつぶやく私。


< 船からの眺めも楽しめます>

その後も疎水沿い終点?まで散策を楽しみ、時刻は既に5時頃。
チェックインのために宿に向かった我々でした。

麗しの京都(一)


< 清水寺の桜>

先週土曜日に工房の展覧会も無事終了いたしました。
いらしてくださった皆様、本当にありがとうございました。

多忙な日々に終われ、アップが遅れてしまいましたが、
遅まきながら4月の5日、6日と一泊で行って参りました、
春の京都、花見ツアー記です。

一度で良いから、満開の桜のもと京の都を巡ってみたい!
という熱い衝動を押さえきれず、2月の終わりになんとか申し込みました。
京都人気恐るべし、既にめぼしい宿はどこもいっぱいでした。
割安の新幹線チケットゆえ、出発時間の選択肢は限られており、結果的に
朝の9時01分には京都駅に降り立っておりました。

京都のお天気は快晴で汗ばむほどの陽気でした。
旅立つ前に、昨年の伊藤若冲展の時に知り合いになった、京都在住の
ウェブデザイナーNさんにご連絡した所、とてもご親切に
見所や、コース取り、要領の良い導線などを教えて下さいました。
加えて、この一番良い時期の週末に突然の我々の連絡にも関わらず、
土曜夜と日曜日をご一緒して下さるというありがたくも嬉しい
お申し出を頂き、再会もあるなんだか楽しい〜京都の旅が始まりました。

まずは「どうしても観たい所」を目指そうということで、清水寺へ。
「渋滞に巻き込まれたくない」との暗めの運転手さんの要望で参道
かなり手前でタクシーをおろされましたが、結果的には心の準備期間
ということでよかったのかもしれません。

京都の街歩きの楽しみの一つは小さな商店の出窓です。どこの店もセンス
よく飾りしつらえていて、一つ一つ観ていてあきません。清水寺への道中の
茶碗坂にてもいきなり素晴らしい出窓(これ本当は何て言うのでしょう)
を発見です。
完璧な配置で猫が座ってます。うーむ・・京猫。わかってはりますな。


< 侘び寂びを知っている?京猫>

はやる心お落ち着かせつつ清水寺に到着した我々を出迎えてくれたのは
満開の桜でした。


< これまた清水の舞台と桜>

「オ〜ビューティフォ〜ジャポン!」となぜだかいきなり気分は外国人です。
境内に入る門前の桜と朱の門の美しさに期待が膨らみます。
朝の光を浴びた清水の舞台からの長めは格別のものがありました。
視界には満開の桜、そして遠くに見える市街地と山並み。まさに理想的な
眺めでした。まだ9時台ということもあって舞台の上は想像したほど混雑して
はいませんでした。朝4時半に起きてよかったな・・・自分。


< 下から見上げる清水寺もまたよろし>

ゆっくりと、ゆったりと景色を堪能した後、迂回して舞台を見上げるコース
へと進みました。下から桜ごしに見上げる本堂や三重塔を観た時、「惚れ惚れする」
とはこのことだと、感謝の気持ちが込み上げてきたのでした。

いきなり胸いっぱいの清水寺を後にして、ここからはN氏のおすすめ順路へゴーです。
バスを降りたのは、京都御所の南側建礼門付近。ここから御所へ入りました。
実はここに来るのは初めてです。
おすすめされた近衛家の邸宅のしだれ桜は北側の門、朔平門付近にあります。
想像以上にずっと広い御所の中です。それはまぎれもなく雅な人が住まう所、
平民が決して用意に近づく事が出来ない場所という印象を思い起こさせて
くれるのでした。
意外と人気がなく、ここが街のど真ん中であるという事を忘れてしまい
そうな、時代をタイムスリップしたような感覚に襲われます。
御所内の参観は事前申し込みがいるとのことで、これが故に私はいままで
御所には入れないのだと思い込んでいたのでした。厳密に言えば参観申請が
必要なエリア以外は広〜〜い庭園状態になっており、犬を散歩させるなど、
市民の憩いの場となっているようでした。敷地内にはものすごく立派な松の木
が何本も立ち並んでいて、樹木フェチの私としては非常に心揺さぶられました。

途中、数本の美しい山桜に出会いました。それは枯れた松の倒木から生えて
いました。たて看板によれば、何でも松の古木から自然的に生えたそうです。
桜見物でごった返す京都にあって、ひっそりと咲く山桜。
あえて人を寄せ付けないような、なにか神々しいものを感じたのでした。


< 松の古木に生える山桜>

近衛家のしだれ桜の場所は、人の気配ですぐにわかりました。
静かな御所内にあって、ここだけは花見客や見物客で賑わっていました。


< 華やかピンク色のしだれ桜>

満開から少し盛りを過ぎた白やピンクのしだれ桜群はその枝を見事に
空から振りかざしており、風に揺れて桜吹雪が舞う様は非常に幻想的でした。
一度にこんなにたくさんのしだれ桜を観た事がありません。


< 見事な枝振りのしだれ桜>

「オ〜ワンダフォ〜」と再び気分は外国人、またまた胸がいっぱいに・・。


< 視界に広がる雅な花々>

と、ここで胸はいっぱいだけれど、お腹はからっぽになったので、御所の
北側にある同志社大学の学食でリーズナブルなランチをしました。
その後、引き続きの順路哲学の道をめざしたのでした。
今日はここまで。