テオ・ヤンセン展


<テオ・ヤンセン>

4月の2週目、日比谷パティオで開催されていたオランダ人
アーティスト、テオ・ヤンセン展を観に行きました。

残念ながら展覧会はもう終了してしまったので、テオの動画を
見られるサイトを紹介致します。
http://www.strandbeest.com/
(こちらはBMW south africaのCM)
http://www.youtube.com/watch?v=WcR7U2tuNoY

テオ・ヤンセンの作品のことは以前テレビで紹介されていた
の観た時以来、魅了されて気になっていました。
その時、テオの作品は砂浜で風を受け、まるで生きているように
歩いていたのでした。自然の動力のみで。
それは太古の昔からそこに存在しているようでもあり、
これからもずっとそこにいつづけ、一人、風に任せて歩き
続ける孤独な生き物のようでもありました。

海辺の低くたれこめたグレイの雲。中世のオランダの空の
ようなブルーとグレイとピンクが混じり合った不穏な空模様
の下、群青の海を背景に徘徊する姿は一つの作品としても
完璧なシチュエーションでありました。

テオの作り出す生命体は「ビーチアニマル」と呼ばれる生物で
その体は無数のプラスチックチューブやビニールテープ、
からできています。
個体によってはビニールシートの羽をもっているものもいます。
いくつかの「期」にわかれ恐竜のように進化し、時代によっては
全身を木片でまとい、まるでロボットのような姿に変化してる
ものもいます。
極めて無機質な物からで来ているにも関わらず、どこかいとおしさ
を感じる有機的な力をはなつ存在感があります。

動物のような感情は殆どもたず、ただ虫のごとく、あるがまま
なすがままに生きている感じが、個人的には「アニマル」
というよりは「虫」を思い起こさせます。

テオの作品を見ているとどうしても宮崎駿の「風の谷のナウシカ」
に出てくる腐海の虫がオーバーラップしてくるのです。
http://www.allmovie.com/work/53484
虫とは思えない大きな体。硬質で威風堂々とした姿。
テオがナウシカに影響を受けたとは思わないのですが、
逆にテオに一度DVDを観せてみたいという気持ちになります。

特設テントの会場でいよいよテオ作品の実物に会えました。
風も砂もないテントの下で、彼らはまるで化石のように
じっとしていました。ビニールテープには砂がこびりつき
翼のビニールシートも破れ黄変していました。その姿は彼の
生きて来た人生を物語っているようでもあり美しいたたずまい
なのでした。中央に一機、動かしてもいい小型のアニマルが
置かれていて、実際に手で押して動かす事ができました。
想像以上に軽く私の一押しで無数の足が歩き出すコラボレーション
は共に生きているようで気持ちが浮き立ちました。


<会場にはテオが描いたスケッチも展示されてました>

でもやはりテオ作品は屋根の下ではなく、風吹く海辺が一番の
生息場所だと改めて実感しました。会場に流れている作品のDVD
がとても美しかったです。

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